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“春の土用”は“土いじり”の時期 [ファーマシーの食養]

 “夏の土用”は皆さんご存知でしょうが、実は“土用”は年に4回訪れ、季節の変わり目を言います。
 “春の土用”は、24節季の一つ「穀雨」の3日前、4月17日頃に始まって、「立夏」の前日、5月4日頃までです。始まりの日が中途半端ですが、何故そうなっているのかと申しますと、1年365日を季節の5区分<春・夏・土用・秋・冬>で均等に割り振り、それぞれ73日とし、土用は4回来ますから、4で割った18日を春・夏・秋・冬の後に入れ込むのを基本とする、というものです。
 では、何故に“土用”が定められているのかですが、薬屋という仕事柄、中医学(俗に「漢方」)を少々勉強し、どれだけか知っておりますので、ご紹介しましょう。
 
 まず、24節季ですが、これは太古の昔、中国で、農業暦として定められたもので、中国中心部の気候に合ったものになっています。日本では、関東平野以西から九州までの平野部に概ね合うことでしょう。
 そして、季節の変わり目の頃に、畑を耕したり作物を植え付けたりと、“土いじり”することが多くなりますから、”土用”というものが定められたと考えられます。
 さて、ここからが凄いのですが、古代漢民族は、この“土用”を、身体の健康と結びつけたのです。

 中医学に明確に定められているのですが、まず、古代漢民族は、ことのほか「5」にこだわり、何でも5分類してしまい、季節は、春・夏・土用・秋・冬の5つ(ただし、土用は4つの季節の間にそれぞれ入りますから実質上は、8区分ですが、4つの土用を1つにまとめて5分類)、そして、健康に関することも、全て5分類します。
 主要臓器は、肝・心・脾・肺・腎の5つですが、肝は肝臓というふうに、その臓器をドンぴしゃり指すものではないものの、概ねそうだと考えて差し支えありません。ただし、脾は脾臓ではなくて膵臓を指すのですが、腑に分類され脾に密接な「胃」だと考えた方が理解しやすいでしょう。
 この主要5臓器がそれぞれの季節に対応します。肝は春・心は夏・脾(胃)は土用・肺は秋・腎は冬と密接な関連にあって、その時期に中心的に働いてくれ、生体を維持する上で特に注意せねばならない臓器となります。
 これは、屋外で重労働する農民にぴったり合ったものでして、また、原始時代は、それに似た生活であったことでしょう。よって、ヒトの生理機構は、これに沿ったものになっているはずですから、農民以外の支配階層にも適用でき、そして、今日の我々にも適用できるものになっていると考えられます。
 
 次に、自然界に存在する主要な物(木・火・土・金・水)と主要臓器(肝・心・脾・肺・腎)が、それぞれ対応し、土用にあっては、土と脾が密接な関係にあることになります。ちなみに、春は木で肝臓が、夏は火で心臓が、それぞれ関係します。なお、金はゴールドではなく、金属を言い、鉱石や岩石も含むとして良いです。
 先に述べましたように、土用は土いじりの時期で、特に春の土用は、夏野菜の植え付けやその準備で、大忙しとなります。つまり、農繁期です。その時期に、脾つまり胃が活躍してくれます。連日の重労働に備えて、食べ物からのエネルギーの生産、つまり、消化吸収を促進しなければならないからです。
 では、どんな栄養を摂らねばならないのか。これについては、味を重視するのが中医学の特徴です。いわゆる5味です。順に、酸・苦・甘・辛・塩の5つで、土用は3つ目ですから、甘味を特に必要とします。力仕事をすると甘い物が欲しくなることからも納得できます。ですが、ご飯だって良く噛めば甘味がでてきますから、炭水化物全般が必要とされましょう。
 なお、味の3用というのがありまして、脾に甘味だけではありません。脾を益する塩味、脾を助ける辛味を添えるとバランスが整うというものです。通称、隠し味と呼ばれ、日本料理で盛んに使われています。
 春の土用で連日百姓仕事をするのであれば、腹が空きますから、ご飯(甘味)をもう一杯、辛子明太子(塩味と辛味)でも乗せて、お茶漬けでも食べるのが良いと言うことになります。
 これは、理にかなったもので、汗をかく時期になりますから、塩分が必要ですし、辛味が食欲を増進することは、皆さんご存知のとおりです。

 そして、この時期に注意せねばならない気象は、湿気です。土いじりすれば、地中の湿り気が地表に現れ、太陽の熱で蒸発し、それを直接的に吸うのですから、湿気過剰となりましょう。特に、この時期に、湿気に長時間晒されると体調を崩しやすくなります。この要注意の気象、これは5悪と表現されますが、順に、風・熱・湿・燥・寒で、土用は3つ目ですから、ちゃんと湿に対応しています。
 今年は、4月に入ってから毎日のように雨が降り、畑が随分と湿っていますから、湿気を吸いすぎないよう注意したいものです。

 もう一つ付け加えるならば、5つの感情、怒・喜・思・憂・恐、これは5志と呼ばれていますが、土用は3つ目の「思」に対応します。いろいろと思いを巡らせなければならない季節なのです。
 特に、春の土用は、夏野菜の苗の生長ぐあいを見定めて植え付け時期を考えたり、連作障害が出ないように植えつけ場所を選択したりと、思考回路を十分に働かさなければなりません。
 百姓仕事をしている小生も、これからの時期、努めて連作障害を避けるための理想的な作付け場所の決定に迫られそうです。青写真は出来ていますが、しかし、作業効率を考え合わせると、一部手直ししたいと考えたりして、当分の間、思いを巡らせることになりそうですし、また、頭を悩ませることになりそうです。加えて、作付けが終わった後でも、あれで良かったのかどうか、こうすべきではなかったのかとか、頭が混乱しないとも限りません。
 これが高ずると、いわゆる「5月病」になります。百姓仕事でも5月病になるのですから、デスクワークの仕事となると、格段に思い悩むことが多くなりましょうから、「5月病」になるのは必至でしょうね。春の土用には、「脾」つまり胃を病んで、胃が痛くなり、食欲が失せ、「思」が思うように働かなくなり、やがて、鬱(うつ)になるのも、うなずけます。
 
 百姓仕事を中心にして、中医学の基本を述べてまいりましたが、詳細については、小生の別立てgooブログ「薬屋の…」の「漢方栄養学」に書いておりますので、興味を持たれた方は、一度覗いてみてください。なお、5月5日頃の立夏以降は季節は夏になり、その時期の食養生法も、そのブログでご覧いただけます。

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